運営中のレンタルスペースや民泊を買うときは、「内装や備品」だけでなく「賃貸借契約を引き継げるか」「売上は本当か」「買った後も同じように予約が入るか」を確かめることが大切です。特に、貸主の承諾、予約サイトの管理画面での売上の確認、売り手が自分でこなしていた作業を外注した場合の費用の3つは、必ず確認しましょう。
「居抜き」と「事業譲渡」の違い
- 居抜き(造作譲渡):内装や設備を、次の借主が引き継ぐことです。引き継ぐのは「モノ」が中心です
- 事業譲渡:内装や設備に加えて、予約の実績、運営の仕組み、外注先との関係など「事業」を引き継ぎます
レンタルスペースや民泊を「運営中のまま」買う場合は、事業譲渡にあたります。ゼロから始めるより早く売上が立つのが魅力ですが、そのぶん確認すべきことも増えます。
物件と契約のチェック
1. 賃貸借契約を引き継げるか
最も大切な確認です。貸主が名義変更か再契約に応じるか、新しい契約でもレンタルスペースや民泊としての利用が認められるかを確認します。保証会社の審査、敷金・礼金・保証料など、新たに必要になるお金も見積もります。
2. 契約の残り期間と更新の条件
定期借家契約なら、残りの期間と再契約の可能性を確認します。投資したお金を回収する前に契約が終わってしまうと、計画が崩れます。普通借家契約でも、更新料や賃料の改定の予定を確認しましょう。
3. 建物のルールと近隣の状況
マンションの管理規約で、時間貸しや宿泊での利用が禁止されていないか。過去に近隣から苦情がなかったか、どう対応したかも聞いておきます。
4. 許可・届出(民泊・簡易宿所の場合)
- 旅館業(簡易宿所など):譲渡の前に、売り手と買い手がそろって自治体の承認を受ければ、営業者の地位を引き継げます。承認を受けずに引き渡しを受けると、引き継げません
- 住宅宿泊事業(民泊新法):買い手が新たに届け出る必要があります。届出が受理されるまでは営業できないため、空白の期間を見込んでおきます
数字のチェック
5. 売上は予約サイトの管理画面で確認する
売り手が作った表だけで判断せず、予約サイトの管理画面や、入金の明細と照らし合わせます。直近12か月の月別の数字を見ると、季節による波もわかります。秘密保持契約(NDA)を結んだうえで、画面を一緒に見せてもらうのが確実です。
6. 経費の内訳と「売り手の見えない労働」
家賃、清掃、消耗品、光熱費、通信費、予約サイトの手数料などを確認します。特に注意したいのは、売り手が自分でこなしていた清掃や問い合わせ対応です。買った後にこれを外注すると、その費用の分だけ利益が減ります。利益は「自分が運営したらいくら残るか」に直して考えましょう。計算の仕方は利回りと回収年数の見方で解説しています。
7. 売上が売り手個人に依存していないか
売り手の個人的なSNS、知人の紹介、特定の常連客、法人との個別の取引に売上が偏っていると、オーナーが変わったとたんに売上が落ちることがあります。どの経路から予約が入っているかを確認します。
引き継ぐもののチェック
8. 予約サイトのアカウントとレビュー
アカウントやレビューを引き継げるかは、予約サイトの規約によって異なります。引き継げない場合、新しいアカウントで掲載を始めることになり、しばらくは予約が入りにくい時期があることを見込んでおきます。
9. 備品の一覧と所有権
譲渡の対象になる備品の一覧をもらい、実物と照らし合わせます。リースやレンタルの機器(複合機、防犯カメラ、スマートロックなど)が混ざっていないか、それらを引き継げるかも確認します。
10. 鍵・システム・各種アカウント
スマートロック、防犯カメラ、Wi-Fi、メッセージの自動送信など、運営に使っているシステムのアカウントを移せるか。移せない場合は、新たに契約する費用と手間を見込みます。
11. 清掃・管理の外注先
清掃会社や管理会社が、オーナーが変わった後も同じ条件で続けてくれるかを確認します。民泊で家主が不在になる形なら、住宅宿泊管理業者への委託が必要です。
12. 引き継ぎの期間とサポート
マニュアル、料金設定の考え方、よくある問い合わせへの返信例などを、どこまで、どのくらいの期間引き継いでもらえるか。引き渡し後の質問に答えてもらえる期間も、契約で決めておくと安心です。
契約で決めておきたいこと
- 譲渡の対象(備品の一覧、契約、データ)
- 引き渡し日と、その前後の予約・売上の扱い
- 敷金・前払いの費用などの精算方法
- 売り手が説明した内容が事実であることの約束(表明保証)と、違っていた場合の扱い
- 売り手が近くで同じ事業を始めないことの約束(競業避止)
買うまでの流れ
- 希望の条件(地域・業態・予算)を整理する
- 案件を探し、秘密保持契約(NDA)を結んで詳しい資料をもらう
- 面談・内見で、売り手から運営の実態を聞く
- 数字と契約を確認し、条件を交渉する
- 貸主の承諾、許可・届出の手続きを進める
- 譲渡契約を結び、引き渡しを受ける
全体の流れや、案件の探し方はレンタルスペースを買う・引き継ぐ完全ガイドで詳しく解説しています。
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