レンタルスペース・民泊を買うときの利回りと回収年数の見方

運営中のレンタルスペースや民泊を買うときに、価格が妥当かを判断する方法を解説します。投資総額の出し方、売り手の利益を「自分が運営した場合」に直す方法、利回りと回収年数の計算、売上が下がった場合の確認まで、計算例つきで整理しました。

買い手向け公開日:最終更新日:執筆:SpaceBaton(運営:株式会社VMK)

要点

運営中のレンタルスペースや民泊の価格が妥当かは、「投資総額を何年で回収できるか」で判断します。投資総額には、譲渡価格だけでなく、仲介手数料、新たな敷金・礼金、追加の備品などを含めます。利益は、売り手の数字をそのまま使わず、清掃の外注費など「自分が運営した場合の費用」に直してから計算します。1〜数室規模の取引では、年間利益の2〜3年分が価格の目安になることが多く、契約の残り期間が回収年数より短い案件には注意が必要です。

回収年数と利回りの計算式

回収年数 = 投資総額 ÷ 年間の利益(自分が運営した場合)
利回り = 年間の利益(自分が運営した場合)÷ 投資総額

回収年数が短いほど、利回りが高いほど、投資としては有利です。ただし、数字が良すぎる案件には、契約の残り期間が短い、近隣との問題を抱えているなど、何らかの理由があることもあります。

ステップ1:投資総額を出す

譲渡価格だけで計算すると、回収年数を短く見積もってしまいます。次の費用も含めましょう。

項目内容
譲渡価格売り手に払う代金
仲介手数料買い手が払う手数料(SpaceBatonの場合は譲渡価格の10%、最低10万円)
賃貸借の初期費用新たな敷金・礼金・保証料、仲介手数料など
追加の備品・修繕古くなった家具・家電の入れ替え、壁紙の補修など
許可・届出の費用民泊の届出、旅館業の承継の手数料、専門家への報酬など
運転資金新しいアカウントで予約が安定するまでの数か月分の家賃など

ステップ2:利益を「自分が運営した場合」に直す

売り手が示す利益は、売り手の運営スタイルを前提にした数字です。買い手が同じように運営できるとは限りません。次の点を調整します。

  • 売り手が自分でしていた作業:清掃、問い合わせ対応、備品の補充などを外注するなら、その費用を経費に加えます
  • 計上されていない経費:売り手の自宅の通信回線や車を使っていた場合など、表に出ていない費用がないか確認します
  • 予約サイトの手数料:売上から差し引かれる手数料が、経費に含まれているかを確認します
  • 季節による波:繁忙期の数か月だけで年間を見積もらず、直近12か月の合計で考えます
  • 家賃の変更:再契約で家賃が上がる場合は、新しい家賃で計算します

計算例(架空の数字)

ここからは、仕組みを分かりやすくするための架空の数字による計算例です。

投資総額

  • 譲渡価格:150万円
  • 仲介手数料:15万円(150万円 × 10%)
  • 新たな敷金・礼金など:30万円
  • 追加の備品:5万円
  • 合計:200万円

年間の利益(自分が運営した場合)

  • 売り手が示す年間の利益:96万円(月8万円)
  • 売り手が自分でしていた清掃を外注する費用:−24万円(月2万円)
  • 調整後の年間の利益:72万円(月6万円)

結果

回収年数 = 200万円 ÷ 72万円 ≒ 約2.8年
利回り = 72万円 ÷ 200万円 = 36%

売り手の数字(96万円)のまま、譲渡価格だけで計算すると「150万円 ÷ 96万円 ≒ 約1.6年」になり、実態よりかなり有利に見えてしまいます。

ステップ3:売上が下がった場合も確かめる

買った後、予約サイトのアカウントを引き継げなかったり、近くに競合ができたりして、売上が下がることがあります。売上が2割下がった場合も計算しておきましょう。

レンタルスペースや民泊は、家賃などの固定費の割合が大きいため、売上が2割下がると、利益は2割よりもっと大きく減ります。上の例で、年間の売上が240万円、経費が168万円(ほとんどが家賃などの固定費)だとすると、売上が2割減って192万円になれば、利益は24万円まで下がり、回収年数は8年を超えます。

「売上が少し下がっても回収できるか」を確かめておくと、無理のない価格かどうかが見えてきます。

価格の目安:年間利益の2〜3年分

1〜数室規模のレンタルスペースや民泊の取引では、年間の利益(補正後)の2〜3年分に、家具・設備の価値を加えたあたりが価格の目安になることが多くあります。買い手から見ると「2〜3年で回収できる」水準です。売り手側の考え方は売却相場と査定の記事で詳しく解説しています。

注意したい3つのポイント

  1. 契約の残り期間が、回収年数より長いか:定期借家契約の残りが2年なのに、回収に3年かかる計算なら、再契約できなければ投資を回収できません
  2. 回収年数が極端に短い案件には理由がある:契約の終わりが近い、建物のルールで利用を続けられない可能性がある、近隣との問題がある、などがないか確認します
  3. 利益が売り手個人に依存していないか:売り手の知人や個人的な集客に頼った売上は、オーナーが変わると消えることがあります

確認すべき項目の全体は居抜きでレンタルスペース・民泊を買うときのチェックポイントにまとめています。

条件に合うスペースを探している方へ

登録・相談は無料、手数料は成約したときだけ(譲渡価格の10%・最低10万円)です。
希望の地域・業態・予算を登録しておくと、合う案件が出たときにご案内します。

よくある質問

レンタルスペースの利回りは、どのくらいが目安ですか?
物件や運営の形によって大きく変わるため、一律の目安はありません。価格が年間利益の2〜3年分なら、利回りはおおむね33〜50%になりますが、これは投資総額ではなく譲渡価格で計算した場合です。初期費用や追加の費用を含めた投資総額で計算し直すと、利回りはもっと低くなります。
売り手の示す利益は、そのまま信じてよいですか?
予約サイトの管理画面や入金の明細と照らし合わせて確認したうえで、「自分が運営した場合」の費用に直して使ってください。特に、売り手が自分でしていた清掃や対応の費用は、見落とされやすいポイントです。
回収年数は何年以内なら買ってよいですか?
一律の基準はありませんが、少なくとも「契約の残り期間より短いこと」と「売上が2割下がっても、無理なく回収できること」は確認しておきたい条件です。
民泊の場合、計算で気をつけることはありますか?
住宅宿泊事業(民泊新法)では、年間の宿泊日数が180日までに制限されています。売上の見込みが、この上限を前提にしているかを確認してください。旅館業の許可がある物件なら、日数の上限はありません。