レンタルスペースの閉店費用は、主に「解約予告期間の賃料」「原状回復」「家具・機材の処分」の3つで決まり、1室でも数十万円から100万円を超えることがあります。売却(事業譲渡)できれば、内装や備品を買い手に引き継ぐので原状回復や処分の費用がかからず、予告期間中も営業を続けながら売却代金を受け取れます。閉店を決める前に、契約書の確認と「売れるかどうか」の確認を先に済ませるのがおすすめです。
閉店でかかる費用の内訳
| 費用の項目 | 内容 | 金額を左右するもの |
|---|---|---|
| 解約予告期間の賃料 | 解約を伝えてから契約が終わるまでの家賃 | 契約書の予告期間(1〜6か月程度が多い) |
| 原状回復 | 内装を外し、借りたときの状態に戻す工事 | 内装の作り込み、契約の原状回復の範囲 |
| 家具・家電・機材の処分 | 買取・回収・廃棄の費用 | 量、大型の機材の有無、搬出のしやすさ |
| 敷金・保証金の差し引き | 償却分や原状回復費が差し引かれる | 契約の償却条件 |
| 予約のキャンセル対応 | 返金、予約サイトのペナルティ | 先の予約がどれだけ入っているか |
| 各種の解約 | 回線、スマートロック、防犯カメラ、各種サービス | 契約の残り期間や解約金 |
1. 解約予告期間の賃料
賃貸借契約には、解約を申し出てから契約が終わるまでの期間(解約予告期間)が定められています。住居タイプの物件なら1〜2か月、事業用の物件なら3〜6か月が多く、この間の家賃は払い続けることになります。予告期間中も営業はできますが、閉店が決まっている店に新しい予約を入れるかどうかは悩ましいところです。
定期借家契約の場合は特に注意が必要です。 事業用の定期借家で中途解約の条項がない場合、契約期間の途中でやめても、残りの期間の賃料を求められることがあります。
2. 原状回復
借りたときの状態に戻す工事です。壁紙や床の張り替え、照明や設備の撤去、造作の解体などが含まれます。レンタルスペースは、撮影用の背景、照明、音響、キッチン設備などの作り込みが多いほど費用が上がります。契約書に「スケルトン(内装のない状態)で返す」とあれば、さらに高額になります。
入居したときの写真や、引き渡し時の状態の記録があれば、原状回復の範囲を貸主と話し合う材料になります。
3. 家具・家電・機材の処分
ソファ、テーブル、冷蔵庫、プロジェクター、撮影機材などです。事業で使っていたものは、家庭ごみとして出せない場合があります。状態のよいものは買取業者に売れることもありますが、まとめて売ると安くなりやすく、残りは回収・廃棄の費用がかかります。
4. 敷金・保証金
敷金や保証金は、原状回復費や償却分(契約で決まっている差し引き額)を引いた残りが返ってきます。原状回復費が多くかかると、返ってくる額はその分減ります。
5. 予約のキャンセルと各種の解約
予約サイトで先の予約を受けている場合、キャンセルすると返金に加えて、サイトによってはペナルティや評価への影響があります。インターネット回線、スマートロック、防犯カメラ、各種のサービスは、解約金や最低利用期間がないかを確認します。
計算例:閉店した場合と、売却した場合
ここからは、仕組みを分かりやすくするための架空の数字による計算例です。実際の金額は、契約や物件によって大きく変わります。
前提:家賃 月10万円、解約予告期間 3か月、内装を作り込んだ1室のレンタルスペース
| 項目 | 閉店する場合 | 売却する場合 |
|---|---|---|
| 解約予告期間の賃料 | 約30万円(予約を止めて営業しない場合) | 0円(引き渡しまで営業を続け、契約は買い手に引き継ぐ) |
| 原状回復 | 約30万円 | 0円(内装ごと引き継ぐ) |
| 家具・機材の処分 | 約10万円 | 0円(備品ごと引き継ぐ) |
| 敷金の差し引き(償却分) | 約10万円 | 契約しだい(売り手・買い手・貸主の間で精算) |
| 受け取るお金 | 0円 | 売却代金 100万円 − 仲介手数料 10万円 = 90万円 |
| 差し引き | 約80万円の出費 | 約90万円の受け取り |
この例では、閉店と売却の差は約170万円になります。実際には、売却までに数か月かかることや、売れない可能性もあります。それでも、閉店にかかる費用を知っておくと、「多少安くても売る」という判断の基準になります。
なお、仲介手数料はSpaceBatonの場合の計算です(成功報酬のみで、売り手・買い手それぞれ10%、最低10万円)。
閉店費用を抑える6つのコツ
- まず契約書を読む:解約予告期間、原状回復の範囲、定期借家かどうか、償却の条件を確認します
- 解約の連絡は、方針が決まってから:解約を伝えると予告期間が始まります。売却を試すなら、売却の見込みを確かめてから伝えるほうが、選択肢が残ります
- 原状回復の範囲を貸主と話し合う:次の借主がそのまま使える設備は、残してよいと言われることもあります
- 見積もりは複数取る:原状回復の工事や処分の費用は、業者によって差が出ます
- 居抜きで次の借主に引き継ぐ:貸主の了解があれば、内装をそのまま次の借主に使ってもらう方法もあります
- 事業として売れるかを先に確かめる:予約の実績や運営の仕組みがあれば、内装だけでなく事業として値段がつく可能性があります
閉店か売却か、迷ったら
「赤字だから売れないだろう」「小さいから無理だろう」と思って閉店を選ぶ方は少なくありません。ただ、買い手は今の利益だけでなく、立地、内装、備品、予約サイトでの実績、運営の仕組みを見ています。売却の選択肢を比べたい方はレンタルスペース・民泊の売却先の比較を、撤退と譲渡の考え方は撤退と譲渡、どちらが得かをご覧ください。