レンタルスペースや民泊の売り先は大きく6つあり、「売却額の規模」と「自分で動ける時間」で選ぶのが基本です。1〜数室・数百万円までの規模なら、M&Aマッチングサイトか業態特化型の仲介が現実的で、総合型のM&A仲介会社は最低報酬の関係で合わないことが多くなります。どの方法を選んでも、賃貸借契約を引き継げるか(貸主の承諾)と予約サイトの扱いを先に確認しておくと、売れるまでが速くなります。
この記事は、SpaceBaton(運営:株式会社VMK)が書いています。私たちも選択肢のひとつ(業態特化型の仲介)ですが、SpaceBatonが向かないケースも含めて、できるだけ公平に整理しました。特定の会社やサービスの評価ではなく、「方法ごとの一般的な特徴」の比較です。手数料などの条件は会社ごとに異なるため、実際に使う前に各社の最新の料金表を確認してください。
6つの選択肢の比較表
| 方法 | 主な費用 | 売り手の手間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| M&Aマッチングサイト | 売り手は無料〜低額で、買い手側に成約手数料がかかる形が多い | 大きい(掲載文・交渉・契約・引き継ぎを自分で進める) | 自分で交渉でき、時間に余裕がある |
| 総合型のM&A仲介会社 | 着手金・成功報酬など。最低報酬が数百万円に設定されていることが多い | 小さい | 売却額が大きい、複数拠点を法人ごと売る |
| 居抜き・造作譲渡 | 会社ごとに異なる(成約時の手数料など) | 中くらい | 事業より内装・設備を次の借主に引き継ぎたい |
| 知人・SNSで直接売る | ほぼ0円(契約書を専門家に頼むなら別途) | 大きい | すでに買い手のあてがある |
| 業態特化型の仲介 | 成功報酬のみの形が多い(SpaceBatonは売り手・買い手各10%、最低10万円) | 小さい〜中くらい | 1〜数室規模で、運営の中身ごと評価してほしい |
| 閉店する(売らない) | 原状回復・解約予告期間の賃料・処分費など | 中くらい | 貸主の承諾が得られない、引き継げるものがない |
1. M&Aマッチングサイト
オンラインに案件を匿名で掲載し、興味を持った買い手と直接やり取りする方法です。小さな事業の売買が多く、数十万〜数百万円の案件も珍しくありません。
- よい点:売り手の費用負担が小さい形が多く、全国の買い手の目に触れます
- 注意点:掲載文づくり、問い合わせ対応、買い手の見極め、価格交渉、契約書、引き継ぎまで、基本は自分で進めます。レンタルスペースや民泊には「賃貸借の名義変更」「予約サイトのアカウント」「許可・届出」といった業態特有の論点が多く、ここでつまずくと成約の直前で話が止まりがちです
- 向いている人:自分で交渉や書類の準備ができ、売却に時間をかけられる人
2. 総合型のM&A仲介会社
業種を問わず、会社や事業の売買を仲介する会社です。財務の調査から契約まで専門家が進めます。
- よい点:手続きを任せられ、法人の株式譲渡にも対応できます
- 注意点:報酬は取引金額に料率を掛けて計算する方式が一般的で、最低報酬が数百万円に設定されていることが多くあります。1室規模のレンタルスペースでは、報酬が売却価格に比べて割高になる場合や、取り扱いの対象外となる場合があります。着手金や月額の費用がかかる会社もあります
- 向いている人:売却額が数千万円以上になる人、複数拠点を法人ごと売りたい人
3. 居抜き・造作譲渡
店舗の内装や設備を、次にその物件を借りる人に買い取ってもらう方法です。不動産会社や居抜き専門の業者が間に入ります。
- よい点:原状回復の費用を抑えられることがあります。飲食店などで広く使われている方法で、相談先も多くあります
- 注意点:評価されるのは主に内装・設備で、予約サイトでの実績や運営の仕組みといった「事業」の価値は値段に乗りにくくなります。貸主の承諾が前提で、次の借主がレンタルスペースとして使うとも限りません
- 向いている人:売上の実績はまだ少ないが、内装に費用をかけたので次の借主に活かしてほしい人
4. 知人・SNSで直接売る
- よい点:仲介の手数料がかかりません
- 注意点:価格の根拠づくり、契約書、引き継ぎをすべて自分で行います。口約束のまま進めると、引き渡し後の売上の差や備品の不足でもめやすくなります。SNSで募集すると、売ろうとしていることが常連のお客様や取引先にも伝わります
- 向いている人:信頼できる買い手がすでにいる人。その場合も、契約書だけは専門家に確認してもらうと安心です
5. 業態特化型の仲介(SpaceBatonなど)
レンタルスペースや民泊など、特定の業態に絞って売買を仲介する方法です。
- よい点:予約サイトのデータの見方、清掃や鍵の運用、貸主との調整といった業態特有の論点を前提に進められます。成功報酬だけの形が多く、小さな案件でも扱ってもらいやすい方法です
- 注意点:買い手の数は、大手のマッチングサイトより少なくなりがちです。対応できる業態や地域にも限りがあります
- SpaceBatonの場合:売れるまで0円、成約したときに売り手・買い手それぞれから10%(最低10万円)をいただきます。登録・相談・査定は無料です
6. 売らずに閉店する
選択肢として持っておくべきですが、閉店にはお金がかかります。原状回復、解約予告期間中の賃料、家具・家電の処分などです。具体的な費用の項目はレンタルスペースの閉店費用の記事にまとめました。売却できれば、これらの費用を払う代わりに、売却代金を受け取れる可能性があります。
規模別:どれを選ぶべきか
- 売却額の見込みが数十万〜300万円台(1〜数室):M&Aマッチングサイトか業態特化型の仲介。自分で動けるならマッチングサイト、任せたいなら特化型の仲介が合います
- 数千万円以上、複数拠点、法人ごと売る:総合型のM&A仲介会社や、税理士・弁護士などの専門家と進めます
- 売上の実績が少なく、内装・設備に価値がある:居抜き・造作譲渡も比べます
- 貸主が譲渡を認めない:売却は難しいため、閉店の費用を抑える方向で考えます
自分のスペースがいくらくらいになりそうかは、売却相場と査定の記事や1分でできる査定シミュレーターで目安をつかめます。
どの方法でも共通の「先にやること」
- 賃貸借契約書で、用途・転貸・譲渡に関する条項と、解約予告期間を確認する
- 予約サイトのアカウントやレビューを引き継げるか、各サイトの規約を確認する
- 直近12か月の月別の売上と経費を、予約サイトの管理画面と照らし合わせられる形で整理する
- 引き継ぐ家具・家電・備品の一覧を作る
- 民泊なら、届出・許可の種類と、買い手に引き継げるかを確認する(民泊・簡易宿所の売却)
項目ごとの詳しい確認方法はレンタルスペースを売却する前に確認すべき8つのことで解説しています。
仲介会社を選ぶときに確認したい5つのこと
- 手数料の合計:着手金・中間金・最低報酬・成功報酬の料率と、税込か税抜か
- 誰から手数料を受け取るか:売り手と買い手の両方から受け取る形か、片方だけか。両方から受け取る場合は、どちらにも偏らない進め方をどう説明しているか(SpaceBatonは、売り手・買い手の両方から手数料をいただく形です)
- 業態の経験:予約サイトのデータの見方や、貸主との調整に慣れているか
- 秘密保持の方法:匿名で掲載できるか、秘密保持契約(NDA)の前に何を開示するか
- 支援の範囲:契約書の作成や、引き渡し後の引き継ぎまで含まれるか